最初に、私の写真のモデルになってくれたのは彼女だ。
普通の小さなデジタルカメラを持って、山や川に連れ出して、いろんなポーズをさせて、夢中で撮った。
実は学生のころから写真を撮るのが好きだった。
いつか自分もカメラで人物を撮ってみたいと思っていた。
でも、才能なんてないと思ってたし、なにより、人に「写真を撮らせてください」なんて言う勇気はこれっぽっちもなかった。
これっぽっちもないまま、写真を撮るのが好きなこともすっかり忘れてしまっていた。
それが、その日、なんとなく撮りたくなった。
彼女を撮ってみたいなと、思った。
「モデルになってもらえないかな」と聞くと、案外あっさり、承諾してくれた。
それは、長年、自分の中に潜ませていた夢が叶った瞬間だった。
彼女は私の夢をあっさり叶えてくれたのだ。
その後、たくさん、人を撮るようになった。
今、もうそれは夢ではなくなって、日常になった。
そして今、彼女は夢を叶えようと頑張っている。
そんな彼女に私はなにか出来ているのだろうか。
くやしいけれど彼女がしてくれたように私はなにもできてない。
なにもできないけど、彼女の存在に感謝する気持ちだけは大切にしたい。
私を今でも暖かく支えてくれる彼女へ。
本当にありがとう。