小さいとき、「あんなに小さな鳥が飛べるのに、どうして鳥よりも大きな私が飛べないのだろう」と、真剣に考えたことがあった。
自分が飛べないことが納得がいかなくて、もしかしたら、手を一生懸命バタバタさせたら、私も飛べるかもしれないと思い、近くのお寺で飛ぶ練習をした。
練習しても、やっぱり飛ぶことができない私は、そのうち、空に舞う鳥は、本当は神様なんじゃないかって思った。
空を舞う鳥に向かって、よく、お祈りをした。
いつの間にか大人になって、ベランダに集まるすずめ達を「かわいいなー」と思って部屋の中から眺めている。
さすがにもう、彼らをみて、神様だと思うことはない。
だけど、この鳥たちが子どもの私の祈りを叶えてくれたような気はしている。
ちいさなちいさな鳥たちが私の祈りの全てを空へと運んでくれていたと信じてる。
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ちいさなちいさな鳥の子たちはいつも思ってた。どうして人間の子たちはあんなに走れるのだろう。おまけに細い翼だって器用につかっている。
ある日鳥の子はお寺の庭で一生懸命に走ってみた。でも人間の子のようにはすてきに走れない。翼だってやたら大きくて不器用なままだ。鳥の子はある夜思った。人間の子は本当は神の子かもしれない。
鳥の子は羽と身体がすっかり強く大きくなった今は、走ってみたりしない。大きな羽で自在に風を集め、空気を切ることができるからだ。
でも時折、大きくなった鳥の子は忘れた頃に夢にみる。一生懸命走った石の庭が白くまぶしかったことの夢だ。